DHMOとは?
1997年、アメリカ合衆国アリゾナ州の中学生・ネイサン・ゾナー君(当時14歳)という少年が書いた「我々はどのようにしてだまされるのか」というタイトルのレポートが科学フェアで入賞し、マスコミにも取り上げられて話題を呼んだ。

彼はDHMOという化学物質の害を指摘し、この物質の使用規制を求めて周囲の50人の大人に署名を求め、うち43名のサインを得ることに成功した。

彼の挙げたDHMOの危険性は、
(1)酸性雨の主成分であり、温室効果を引き起こすことも知られている
(2)多くの場合、海難事故死者の直接の死因となっている
(3)高レベルのDHMOにさらされることで植物の成長が阻害される
(4)末期癌の腫瘍細胞中にも必ず含まれている
(5)この物質によって火傷のような症状が起こることがあり、固体状態のDHMOに長時間触れていると皮膚の大規模な損傷を起こす
(6)多くの金属を腐食・劣化させる
(7)自動車のブレーキや電気系統の機能低下の原因ともなる
といったものだ。

そしてこの危険な物質はアメリカ中の工場で冷却・洗浄・溶剤などとして何の規制もなく使用・排出され、結果として全米の湖や川、果ては母乳や南極の氷にまで高濃度のDHMOが検出されているとネイサン君は訴えました。

さてあなたならこの規制に賛成し、呼びかけに応じて署名をするでしょうか?



ところで、「DHMO」とは一体なんぞや?

実は「DHMO(dihydrogen monoxide)」は和訳すれば一酸化二水素、酸素が1つに水素が2つ。化学式は「H2O」。
つまりただの「水(H2O)」である。

DHMOの性質についてウソは一つも入っていない。

単なる水であっても、悪意を持って危なそうな事柄だけを挙げれば、いかにも危険な化学物質のように見え、規制の対象とさえなりかねないのである。

「恐怖の化学物質DHMO」

最近の化学物質に関する報道(化学物質に限らず、あらゆる事柄に関する報道)を見ていると、これと同じように、何かの意図を持って報道しているようなケースもあるように見える。
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