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勝浦とマグロ
新宮市とその周辺は比較的に水産業が発展していると思われる。

少し南に行けば、日本一のマグロの産地である勝浦がある。

しかし日本一のマグロの産地である勝浦で、日本一のマグロの味を楽しむことができない。
なぜなら、勝浦に上がった日本一のマグロはすべて、東京の築地や大阪などの大都市に行ってしまうからである。

勝浦で売るよりは大都市に持って行ったほうが高く売れる。

高級マグロを勝浦で売ったところで、買ってくれる人がいない。

大都市で売るほうがよほど経済的合理性があり、経済的豊かさを求める経営者としては至極当然の行為である。

もし私がマグロのバイヤーで、お金が欲しいと思えばそうするだろう。
だから勝浦には余り物の売れ残りのマグロしかない。

日本一のマグロを求めて勝浦にやってきた観光客が、勝浦で食べたマグロの期待外れの味に激怒し、「もう二度と来るか!」と文句を言って帰った人がいるという話をよく聞く。
こうなってしまうのも地理的要因があるのだろう。
しかし根本には「陸の孤島となってしまっている地理的要因があるのだから仕方がない。自分たちが悪いんじゃない」と半ば諦めてしまう、その無意識的内面的弱さによるものである。
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